アルプスの少女ハイジ19話(デーテの悪口)

(8/11視聴:公開8/23)

おんじが学校の先生から再三送られる社会復帰への誘いを断っていたら、神父さままでもやってきた。おんじに贔屓目に見ても親身な言葉をかけてくれたというのに、おんじときたらまたお冠。その結果―――

 悪 魔 が 来 た り て 笛 を 吹 く

大らかで幸せな山の暮らしを激変させる出来事。
ついに、ハイジがおんじやペーターと引き離されてしまうことになりました。
おんじがハイジを学校にやらなかったこと、何もしらせていなかったことが災いして、ハイジはデーテおばさんに簡単に騙されて、自ら遠いフランクフルトへ行ってしまうのです…

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今回は美しいアルムからフランクフルトへ移動していく画面の切り替わりが美しく描かれていて、余計に胸に迫るものがありました。
夕日に黄金色に照り映える山々、しかし山裾は既に迫る宵闇に暗く染められています。
汽車が猛スピードで遠ざかっていく中、前半ではずっと「そこにある、雄大なもの」であったアルムの山々が遠く小さくなっていく…
汽車に乗るまでは誘拐されたかのごとく(実際そうだけど)暴れていたハイジですが、簡単には引き返せないところに来たと知って、無言の涙を流します。

更にハイジの気持ちを打ちのめす駄目だしの一発が、車内で寝ている乳飲み子と母親。
ハイジは赤ちゃんにかかっていたケットが落ちているのを見て拾ってかけなおしてあげますが、そのために赤ん坊は目を覚まし、大声で泣いてしまいます。ここでハイジに向けられるのは前半ではありえなかった冷たい周囲の視線。男たちはうるさそうに目を上げるだけ。母親はハイジを無言で睨みつけ、子供をなだめにかかります。弁解の余地もありゃしません。
フランクフルトへ近づくにつれ、人間的な温かみが失われていく様子が汽車の客達から察せられます。

さて、一晩かけてたどり着いたフランクフルト1,2を争うお金持ちのゼーゼマン家。
デルフリ村では「都会的」と注目を集めたデーテでしたが、御者に取り次いでもらおうとするあたり、実際はそこまでスマートな都会人になれてはいないようですね。御者→執事→小間使いと慇懃に対応され(チネッテとセバスチャンの顔見せという意味もあるとは思いますが)やっとこ中に入れてもらいます。

デーテの回想ではすっかり意気投合したみたいに描かれていたお屋敷頭のロッテンマイヤーさんでしたが、実際はかけらも打ち解けた様子がないのが、いいですね(デーテざまあ ※後述)
年齢も教養も、ハイジが募集要項を全く満たしていないことにロッテンマイヤーは抗議しますが、デーテはハイジの潜在能力でアピール。
案外、ハイジの性格を掴んでるあたり、それなりにデーテも仮親していたのか。
困惑顔のハイジと、彼女を面白そうに見つめるクララ。
カメラは窓越しになり、最後はフランクフルト上空へと引いていきます。

真っ暗な中、たくさんの人工灯が輝いているフランクフルトの風景は、アルムとは全く違います。
これまでの「ハイジ」もラストシーンが引きで終わることが多かったのですが、いつもアルム小屋だったので、ここからドラマの場所が変わったことが強調されて感じました。

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デーテ酷い女ですね

デーテは、おんじに向かって、ハイジがフランクフルトでいかに幸せになれるかを説くのですが、万が一、身体が弱いお嬢様が死んだら、その後釜におさまれるかもしれないという目論見妄想だけは口に出して欲しくなかったですね。おんじじゃなくても怒るし、このお嬢様がクララという可愛いもう一人のヒロインだと視聴者は知っているだけに…もう。

デーテもハイジもおんじも「気が強い」「がんこ」の性質の出方が違うってところなのかな、と思ったんですが、おんじはハイジの父方の祖父で、デーテは母方のおばさんだから、血はつながってないのね。

さて愛しいハイジをかどわかし…もとい営利誘拐…もとい…まぁいいや、で奪われた男たち。
おんじは涙こそ流さないのですが、手の震えは隠せない。いやむしろ泣かないところが、このジジイの心が頑なな証拠なんですね。止めようと思えば止められたのに。ペーターじゃないけど、「なんで行かせちゃったんだ!」ですよ。ペーターに飯を食わせようとする妙に優しい口調が痛手を物語っています。
ペーターはもっとストレートですね。走り、泣き、草をむしり…全身で悲しんでます。…正直、ここまで悲しむと思わなかった。
全身で悲しみを表現するペーターを見てると、のちの「コナン」を彷彿とさせます。(声も同じだし)

次回予告のBGMは「三千里」と違って明るい話でも暗い話でも対応できるなと今更気づいてみたり。
あと、前回から牧師さんがおんじを「お隣さん」と呼んでいたのはてっきりキリスト教的な「良き隣人」という意味で使っていると思っていたのですが、実際は「隣に住んでいた」からだったんですね。
深読みしすぎた。トホ。