【名作】母をたずねて三千里・ネタバレ無しレビュー

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名作劇場・アニメ「母をたずねて三千里」 コレは名作だーーーーーーーーー!

バンダイチャンネルで見放題期限が迫っていたので、突貫で見たのですが、次回へ次回へと画面をタップする手が止まらなかった。
だいぶ前に再放送で1クールくらいは見ていたはずなんですが、忙しい時間帯だったからか、全然記憶に残っていず…。改めて見て、その素晴らしさに驚嘆しました。

話はタイトル通り、ジェノバの子供、マルコが出稼ぎに出た母を追って三千里(以上)の長旅をするというものですが、多くの人がイメージするであろう、お涙頂戴からほど遠い、リアリズムとクールな視線で描かれた人間描写がたまりません。
もちろんファミリー向けなので、最終的にはハッピーエンドなのですが、基本的には一貫して抑えた演出に加え、容赦ない苦難が主人公を連続して襲いかかります。苦難と言っても、死にかけたり暴力を振るわれたりといったことは意外に少なく、どちらかというと、まだ幼い少年を打ちのめす心理的な苦難が多く、かなり視聴者のハートを追い込んでくるアニメでもあります。
普通だったらここで助けが入るだろうな〜、というタイミングを先に延ばして、まだか、まだ解決しないのかと先へ引っ張っていくのですが、嫌味を全く感じません。ただの引き伸ばしではなく、 お話的にその描写が必然で、結果、より心を打つエピソードに昇華されていくからでしょう。辛い、でも見ずにはいられない。小さな希望と勇気を見出して、旅を続けていくマルコ少年とともに、物語を味わいましょう。

ところで、この「三千里」は原作がえらい短いので、 名作ものといっても キャラクターもエピソードもほとんど創作状態です。さらにそれを映像に変換するだけでも大変なのに、高畑勲氏の妥協を許さない制作状況で、現場はとても苦しかったそう。1年かけて見られる番組がほとんどない昨今、時間と労力をしっかりかけて、作り込まれた、見事に大人の鑑賞に耐えうる大河ドラマです。ってうか、大人のほうがジンとくるよ、たぶん。

・みどころ1
背景美術や音楽が素晴らしい。 物語序盤のジェノバの日常風景のリアルさ、緻密さ。イタリアに行った身内が「これはイタリア映画だ!」と驚嘆した、空気感の伝わる画面を堪能すべし。主人公が旅するお話なので行く先々で風景が変わっていくのですが、物言わぬ自然描写の存在感も、このアニメの見どころではないでしょうか。

・みどころ2
主人公の少年、マルコが結ぶ人間関係がみどころ。父親との衝突、自分より貧しく、生活に苦労している同年代の友達や、同じ寂しさを抱える少女との出会い。そして旅先で出会う大人たち。親切な人もたくさんいれば、意地悪い連中もたくさん登場します。彼らに物語の中で良い・悪いのジャッジはくだりません。罰が下ると言えば問題の元凶となった主人公のおじさんですが、マルコに冷たくあたる人間が一方的に悪人と描かれないところが、子供向けとしては異例ではないでしょうか。主人公もいわゆる「いい子」ではないのも、つくづく客観性を大事にしているなあと思いました。
彼らとのやりとりで浮かび上がってくる、ドラマ性。生きるということ。パンを得ることと、いかに「よく生きる」か、ということが、マルコと、マルコと交流する大人たちの生き方を通じて描かれています。って書いて見てわかったけど、なんて高尚なテーマを子供向けアニメ(しかも週1・1年間)に織り込んでくるんだよ。高畑さん。

・みどころ3
ドラマのラスト、物語はどこへ帰結していくのか…テーマが重層的なので何を思うかは各人 これはもう見てくださいとしか言いようがないんだけど、単に「お母さんとあえてよかったね」というものではないです。
私が感じたことは関してはネタバレレビューをご覧ください。

・みどころ4
アメデオ(笑)好みが別れるマスコットキャラクターですが、個人的にはとってもかわいい(笑)
このほとんど大げさな表情のない猿がかわいく見える(たまに憎たらしい)、というあたり、アニメーションの力を感じます。
思えば「ハイジ」のヨーゼフは、視聴者のツッコミを体現するような表情をときたま見せてくれますが、アメデオはお話とほぼ無関係に、フリーダムにマルコといるだけです。でも、道中すべての行程にいるのは彼なんですよね。アメデオがいてくれるから、マルコと視聴者は旅を続けていられるのだ!
実際「珍しい猿」ということで他人の目を引くし、マルコの生命線になることもあります。じゃあなんでマルコの兄さんはそんな珍しい猿を手に入れられたのか…は謎です。
ちなみに、描いてみてもなかなか似ない。シンプルな絵って難しいですね。

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3週間ほど駆け足で、突貫で見たので2話ほど満足に見られていない(中間を飛ばしたりした)回もあったのですが、ほぼ全話見ることにこのアニメは価値があると思います。ちょっと時間はかかりますが、ぜひいろんな人に見て欲しい!
母乞いものじゃない、って書いたけど、再会シーンの感動は文句なく泣けますし!

悩みがあるときに見ると、我がことのように引き込まれます。勇気づけられます!(辛いけどw)

マルコの旅は迷い道…人生の道中に、ぜひマルコとアメデオを!!