Maroyaka Magazine
         

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浪漫活劇 るろうに剣心(松竹版)

@新橋演舞場  東京楽の昼に行ってきました。

 

結論から言うと

すごい楽しかった。

 

いや、正直「イケコ感満載」「ジェラ山www」「イケコのオリジナル脚本はだめだよねー」みたいな文章を事前にヅカオタブログなどで拝見していたので、あまり期待しないで行ったんですよ。

「うむ、ついに噂のいまいちイケコ作品にあたるのかもしれん」と。

そしたら

むしろすごく良かったんですよ。

そりゃそうですよね?宝塚でやったものを主役そのままで外部で再演するんですもの、ゴミだったら上演しませんよ。

う〜ん、正直、声の大きいヅカオタの言うことはアテにならないって感じを最近強く感じます…(^^;)

 

なお、今回ヅカ版はスカステ無料放送の録画分を、半分ほど見た状態で観劇しました。
結果的に「予備知識はありつつも後半の展開を素直に楽しめ」たので良かったです。
観劇後はヅカ版の後半も見ました(^^)


ストーリー

オリジナルとなる今作のラスボスはオリキャラで、幕末に盗みを働き、隊を放逐された元新撰組の加納惣三郎。
維新後にフランス資本の商人「ジェラール山下」として剣心や警察官となった元新撰組隊士・斉藤の前に現れる。剣心の殺人剣を復活させ、国家転覆をたくらむ彼の陰謀と、加納のガトリング砲と阿片で世を掌握しようとする武田観柳斎、強いやつと戦いたい気持ちが成仏できない(通常運転の)蒼紫などお馴染みの敵キャラも、剣心たちの前に立ちふさがります。


 

ヅカ版との違いは、やはり男性キャストが加わった点と、大道具など見せ方の違いがでかい。

松竹版はアクション・音楽ともにたくましさが増し、メリハリが効いていました。モブがメインの赤べこや瓦版売りのキャッチーなナンバーは、男性ボーカルのおかげでずいぶん厚みが出て、楽曲の本来の良さが生かされていました。和洋ごっちゃのチャンチキショーも、会場の新橋演舞場にもピッタリで楽しい!ここ、瓦版売りの人、いい仕事してます。

男性の方が「ヨゴレ」として振り切った演技がしやすいし(実際似合うので)ゴロツキたちのいるシーンは特に良かったです。地上げ屋どももヅカに比べると集団に埋もれず、ちゃんと悪くて強そう。なんだかんだで勧善懲悪モノなので、悪役は悪!って感じでスパイス効かせてくれると嬉しいですな。そして、こういったヅカでは実現できないお下品力解禁のおかげか、コメディパートの魅力は数倍増。
特に観柳斎の変態っぷり(笑)は、アドリブから動きまで、大盛りマシマシ状態でいちいち笑える。しかし、うるさくはないので役者がうまいんだろうなあと。
この日は「ガトちゃん」を「ガンちゃん」といい間違えた後、一瞬テンパってからアドリブで芸を見せましたね(笑) あと「どんだけ~」はいつも言ってたのかな。髪型同じで確かに似てた!

剣心はヅカのときよりも「かっこ良く見せる」というノルマがなくなったかな?リアルに寄せた演技に見えました。歌は(映像でしか知らなかったけど)より上手くなっていたかと。
薫役の方はまだ18歳だそうで、それを考えると演技も歌も上手いと思います。みゆさんは持ち前の可憐さを生かしていたけど、こちらは元気さを強調した感じ。剣術小町と言われるのもわかる薫(^^)
声もアニメ版に寄せてるのかな?映画・ヅカと実写の中で一番原作に近いと思う。ちぎさんがめっちゃ小顔でやせてるので、やや、髪型で損をしてたかも。

それから、セットは断然松竹版の方がキラキラ豪華になってたんですが、たぶんヅカと違ってショーがないから本舞台の方に盛ってきたんでしょう。特にラストの桜吹雪は、ヅカ版にはなかったのがとてももったいないです。

ヅカ版より惜しい点

  • 所作がいまいち
    左ノ介と蒼紫はヅカ版を男性に置き換えた以上のものをもう少し感じたかった。
    特に左ノ介は役者本人のリアル男子の魅力に頼っていたかなと。ヅカ版では斬馬刀を振るときも体がブレてなかったぞ。体力は女子よりあるんだから、がんばってくれ。

蒼紫は対剣心戦が多いので、ちぎさんとのバランスを考えて抑えたアクションになっていたんだと思うんですが、そのせいか動きに個性がなかった。もっとキラッキラした二刀流の構えを期待していたんだがなー。まあ登場からしてスパイダーマンだし、もとから出落ち扱いはあったかもしれん。

  • 顔見せだけになってるキャラがいる
    上の所作ともかぶる内容。
    ヅカではダンスシーンだった殺陣が松竹版ではリアルアクションになってしまい、見せ場を作るのが難しい構成になっていた。
    歌にインパクトがある斉藤と、キャラ勝ち&アドリブ上等の観柳以外がちょっと弱い。
  • ジェラールのラスボス感が弱い
    宝塚の変態チックなジェラール、いいですねえ(笑)
    松岡さんは、いい声だし、さすがに本職なだけあって「歌」の聞き応えはありました。舞台の上で「歌」のインパクトは(数も多いけど)一番あったと思う。ただ、キャラをあまり立てられなかったように思います。、殺陣らしい殺陣もなく、ヅカ版に比べて最期もアッサリしてたし。変更された脚本上の限界もあったのでしょう。
    個人的には、今回再現度含めて斉藤の廣瀬友祐がめっちゃ高評価です。

あと、これは良くも悪くもないんですが、明白に削られたエピソードといえば、過去の抜刀斎と巴のシーンですかね。宝塚版は巴にセリフがあって、過去の女と薫の三角関係をうっすら描いてましたが、今回は剣心の心の傷の一部として整理されてた感じ。 だいもんさんじゃないので、少年漫画の敵としてのジェラールに特化させたということかな。 剣心は不殺の誓いを立ててる人なので、敵の作り方難しいですよね。

で、やっぱイケコすごいんじゃねって思う件

イケコ…もとい、小池先生は宝塚生え抜きの作家だし、めっちゃ乙女心も持ち合わせてるんだと思いますが、そうでない人にもお話を見せて、聞かせるための理論武装(話作り)をしっかり(ときに必要以上に)やる人だなあと改めて感心しました。

最初は、二幕がおフランス一色でダンスだドレスだといかにも宝塚になっているのは、単にやりやすいジャンルにもってきたのかなと思ったのですよね。まあ実際そういう面もあるんでしょうが、なにげに、その設定がお話とちゃんとリンクしてるんですよ

加納が商人になって再登場する設定も、時代の趨勢を感じさせるのに効果的な納得の改変だし、新撰組の「侍気取り」が180度方向転換して「フランスかぶれ」になるあたりに加納ジェラールの浅はかさが伺える。プラス、「ひとり脱亜入欧」して復讐に邁進するという、時代の歪みを一身に受けた不幸を表現しているわけで。
で、ラストに井上・山縣の両名がさらっと鹿鳴館の施工にふれて歴史の伏線回収するのもにくいw

こじつけだろうが、あとづけだろうが、お話の流れにきちんとオリキャラの設定がハマっているところが、物語の背景を大事にしているなと。少なくとも、理屈の上ではこの設定にした理由がちゃんとある、というのは作り手として観客にとても誠実さだと思います。

これに「新撰組がフランスかぶれになるって…」とか、「ジェラ山ww」とか「まーたおフランスか」と脊髄反射で煽るやつはわかっとらんのです!(なにこの熱い擁護w)

 

えらいよ…えらいよ小池先生。

ファン向けなんだし、宝塚向けなんだし、「わかってくれる人」が喜ぶツボばっか盛り込んで破綻しても、良いだろうに。ツボは最低限抑えて、作品としてのレベルを保とうとする姿勢がマジでプロでリスペクトです。(って、もうここまで書いたらファンレターにすべきではないかw)

だからこそ外部でも上演される作品が多いのだろうし、逆に「宝塚ならでは」の演目が見たい人には不評なのかもしれませんね。

とりあえずこの一挙無料放送で最高にツボにはまっているのが「王家に捧ぐ歌」なので、たぶん私の感想はヅカオタと合わないんだろうなぁ。

この分だと王家はどれくらいの長さになってしまうのだろう…といったところで一応終わります。