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メサイア 異聞天草四郎&Beautiful Garden(’18年花組)

  • 祝!初東京宝塚大劇場・観・劇!

って盛り上がっていきたかったんですが、前日ものすごい冷え込みで体調が悪く、さらに内容はすご~~~く微妙なところがあって、キャトルでがっつりグッズとか買ったものの、面白さは足りない舞台でした。

まあ…一階最後列だったしな…

所詮はぴあの確率アップ権で当たった席、最後列の音響室前で、めっちゃ狭苦しかった(+_+)
あれなら、二階席のほうが良かったかもしれん。

しかし生ならではの発見もあって、これからはなるべく生で見たいものだと強く思った公演でした。

良かったところ

舞台装置も、衣装も、ビジュアルがすごくよかったです。きれい。
あと音楽も、とにかく「キレイに!」という点に心を砕いた、という舞台でした。

屏風のような背景は回転扉になっていて、どのシーンでも絵画のように見えます。演者が出入りするとアクション度が高まるので、面白い仕掛けでした。農民たちが捕まるシーンも、屏風の炎のおかげで、残虐なシーンでありながら華麗な印象に。 ちなつさん登場シーンのロック風音楽は、まるで外部ミュージカルのよう。
月代の悪代官と侍たち、というベタな時代劇になりそうなビジュアルがオシャレになってました。
クライマックスでせり上がるところも迫力がある。ラストシーンも神々しい金色の光に包まれて、リアルな舞台でこんな絵のような演出ができるものかと感動しました。

微妙だったところ

内容…ストーリーが…そして、演者の扱いが…うん。

まず明日海さん演じる天草四郎ですが、しどころがないとまでは言わないものの、天草のキリシタンの頭領に収まるまでの展開に無理がありましたね…。
大筋の流れはいいんだけど、倭寇のヘッドがキリシタンたちを救おうという気持ちになるまでの動機づけがない。恋した流雨のため、だとしても、二人の関係が出来上がるのが唐突だし(ヒロインはサブ主人公とのシーンが多いくらい)、キリスト教に感銘を受けたわけじゃないし、敗北が決まって、自分も死ぬとわかったとき、民草どもと一蓮托生するほどの決意をどこで固めたのかと。

何回か「俺みたいなやつなんかを…」って言ってて、自分を受け入れてくれた農民に恩返ししたいんだとしても、冒頭の海賊シーンも別に悪いことしてきたやつとして描かれてないし、観客としては納得度低いんだよなあ…。

が、まあ、最大の問題はキリスト教の描き方。
四郎はキリスト教に否定的で、苦しんでる農民を助けない神なんて信じてどうすんだ的なこと言うんですよね。これは自然でいい。しかし、そのあと、敬虔な信者だったはずの天草の民までが、実はあまりに生活が辛いので神とかハライソとか信じるしかなかった、と激白して、真実(?)を喝破してくれた四郎をメサイアとして讃え、反乱へつながっていくというシーンがクライマックス。

…どう思います?これ。

いや、苦しんでても助けない神って行ったら、仏教だって同じやないですか。それに、割りが合わないから信じるのやめた、っていう描き方はどんな宗教に対してでも一番浅い書き方じゃないですか。で、あろうことか劇中のキリシタンたちはそうだ、あんたがメサイアや!と四郎を宗教的アイコンとしてしまう。ちょっと転向早すぎィ!って思う私の感覚は間違ってないと思います。twitterでも言ったんだけど、例えば第二次世界大戦の戦争映画で、日本兵がよそから来たカリスマ将校に「あんたこそ俺たちの天皇陛下だ!」とか言っちゃうトンデモ展開に近いと思うんよね。
要はキリスト教とか関係なく、宗教ってなんだろう、思想信条を持つってどういうことなんだろうという点があまりに雑に処理されている。あれですか、日本人には思想信条がなくて、カリスマに判断を委ねて責任を放棄するんですよね、っていう皮肉ですか(小泉政権とかあの感じ)。

確かに天草の乱の民はリノ以外死んで、生き証人はいない。明治に「発見」された信徒も「自分らは天草の民とは違う」と主張してるんですよね。本来の宗旨からすれば天草の民は同じキリシタンとしては正しくなかったという内部の見方もあるのかもしれない。でも、実際に存在した人たちを扱った話で、彼らを現代的な解釈で安易に描いてしまっていいものか、とすごく思いました。さっき「皮肉か」と書いてみたものの、最後に「歴史をゆがめてはいかん…」とか為政者にカッコよく語らせてるので、たぶん気のせい。

宗教が命をかけるほどの価値がないとなると、負け戦が判明した時点で四郎が民を逃がそうとしないのもおかしく見えてくる。せめてみんなを逃がそうとしたけどできなかったとかだったらキャラの言動に辻褄が合うと思うのだけど。このクライマックスの引っかかりのせいで、途中から盛り上がれなかったのは残念でした。

個人的には、いっそベタに四郎を記憶喪失にしておけばよかったと思うんですよね。遭難して頭打ったとかで。それで、いいやつだってみんなから可愛がられるんだけど、途中で自分が悪いやつだったことを思い出して苦悩するとか。でも、そんな自分を受け入れてもらって、キリスト教と民草にありがたみを感じて恩返ししてくとか。だめか?

キャストとしては…

実はリノの柚香光さんが印象に残りました。複雑な心情を丁寧に演じようとしているのが伝わってきたし、舞台上で大きく見えました。明日海さんは最後の合戦シーンで「やっと出番キター!」とばかりに殺陣で魅せてくれましたが、それまでは割と…暇そ…う…。
流雨の仙名彩世さんに関しては、ソロとキスシーンにしか全力投入せざるを得なかったろうというくらい登場シーンが少なくて、ほんとどうかと思った。歌声には広がりと癒やし力があって、聖母のような雰囲気を感じたというリノの言葉に説得力がありました。

Beautiful Garden

夏!て感じでしたね。
冒頭はタイトル通り秘密の庭園風でしたが、印象に残ったのは夏真っ盛り!な白いハットとアロハシャツ?でした。
ラストの菫色のスーツの明日海さんと黒燕尾の男役演舞、そしてデュエットダンスが本当に優雅でキラキラして素敵だった…。それぞれは良いと思うんだけど、ちょっと統一感がない構成だったかなと思います。そのへんは「SVとBG」で一項目書いてるのでどぞ。

生で見たからこそ…

生で見た発見としては、「輝きが違う」って感じですかね。
私が今まで特に強い関心がなかったちなつさん、あきらさん、この二人は「生で見ると映える」タイプだとわかりました。ちなつさんは舞台では大きく見えますね。動きに重みがあるというか。あきらさんはショーでも切れが良くて、色気がある。2人の人気の理由の一端が、やっとわかったような気がしましたよ。

最後列の遠目でもわかるのだから、もっと近くで見たいものです。
(※あきらさんは、蘭陵王でついに見ることになりました!)